SEANです。
フィリピン経済という言葉でイメージされるのは、高い経済成長率とか人口ピラミッド(数年前は、人口ピラミッドという言葉だけで、多くの日本人がプレビルドを購入していたような気がします 笑)といったところかと思いますが、実際に住んでみると、なかなか複雑というか、一筋縄ではいかない印象です。
まず、高い経済成長率というのは、間違いなさそうです。
ここ数年、7%位で推移していますし、現在のインフレ率もだいたい4%から5%くらい。
当社オフィスがあるマカティ、アヤラ アベニュー付近は高層ビルの建築ラッシュで、常に粉塵と工事音に囲まれている状況。
建設資材、建設コストは当然、上昇しています。
この点では、確かに力強い経済成長だな、と思えます。
一方、株価と為替。
フィリピンの株価指数は年初から20%近くの下落となっていて、さらにペソは対ドルでは歴史的な安値推移です。
それと、賃金と失業率。
マニラの最低日給は500ペソですが、地方となると大幅に下がります。
下記の通り、西ビサヤ地区では、現状、300ペソにも満たないレベルです。
西ビサヤ地域、最低賃金改定 | フィリピン経済・金融・投資情報
フィリピンの国民食、ジョリビーのセットメニューが100ペソですから、
仮に3食ジョリビーにしたら、もう給料は残りません。
さらに、失業率ですが、”統計上”は6%弱となっていますが、これは全く現実とは違うと
感じています。特に地方では仕事の機会が圧倒的に少ないのと、あったとしても、あまりに低賃金であることから、やる気が起きず、昼間から何もせずに過ごす“タンバイ”が問題になっているのです。個人的感覚では、10%から20%くらいの就業すべき人が仕事していない現状だと感じています。
失業率の推移(1980~2018年)(フィリピン, 日本) - 世界経済のネタ帳
日本的感覚だと、かつての高度成長期のように、まずは国全体が成長すれば、成長の果実が全国民に配分されていく、と理解するのですが、こちらフィリピンでは全く異なっています。ある意味では、中国と似ているかもしれませんね。
相変わらず、絶望的に貧しい人は変わらず貧困から抜け出せないのです。
ですから、”フィリピンは高い経済成長”という言葉に釣られて、日本との違いを考えずに、個別の不動産とかに投資するというのは、かなり危険なことだと考えます。
仮にフィリピンの株価指数のETF等を持っていても、経済成長率とは全く反対の動きをしている位です。最適な資源配分にはなっていないので、ちゃんと見極めないと、期待とは全く外れの結果になってしまうと思います。