SEANです。
フィリピン人の知人が実家があるミンダナオ島に3週間帰省して、家族だけではなく、ご近所さん等、総勢30名強を呼んで大パーティーをしたそうですが、その時にふるまったのがレチョン。子豚の丸焼きです。
日本人感覚では、グロい印象を持つ方が多いでしょうが、大きな鯛の尾頭付き、みたいなものかと思います。こちらでは。
さすがにマニラとか街中では豚の丸焼きの風景は見ることはなく、ブロックになった状態で売られていますが、田舎では、処理された子豚を丸ごと買うか、あるいは、生きたままの子豚を買って自分たちで処理するか、自分たちで飼育するケースもあります。
今回の家では、生きた子豚(生後3か月)を4500ペソで購入し、家の庭でつぶして、レチョンにしたそうです。田舎の月給は1万ペソにもならない事も多く、さらに仕事にありつけない場合も多いので、4500ペソ(約1万円)というのは、かなり大きな出費だそうです。ちなみに、レチョンとなるのは、いわゆる”肉”の部分だけですが、内臓も血も腸なども一切、捨てることはなく、大事に使っています。
レバーをはじめとする内臓は、様々な料理になりますし、血も同様です。皮と肉の間にある脂肪はレチョンとしては食べませんが、調理用油などにして使います。日本人が新巻き鮭の全てを綺麗にいただくのと同じような感じですね。
この家のように、家族だけではなく、ご近所さんを呼んでレチョンを振る舞い、盛大にパーティーをするのはとても誇らしい事であり、特に、子豚の購入資金を出した人(一家の稼ぎ頭という訳です)は鼻高々です。深夜まで踊ったり、楽しむそうです。私たち日本人の感覚では、ご近所さんに10万円以上のご馳走を大盤振る舞いする、位のイメージで、しかも、決して豊かではない家がホストとなる。
でも、パーティー風景の動画を見せてもらいましたが、ご近所さんもみんな実に楽しそうにしている(ご馳走になるのですから、当たり前ではありますが笑、それでも、みんな、良い笑顔なのですね)。こういう温かさというのはフィリピンならではで、とても良いものです。昨年のクリスマス以来のレチョン パーティだったそうですから、本当に、なかなかできない事なのです。
実は、この翌日に知人はマニラに戻ってきて、このお肉をさらに調理したもの(PAKSIWという炒め煮みたいな料理です)3キロほど持ってきてくれたので、オフィスのスタッフと食べてみたのですが、臭みなど皆無で、脂身や皮もしつこくはなく、実に美味なものでした。
いつもフィリピンの食事(外食)にはネガティブなコメントばかりしていますが、田舎の家庭料理というのは、全然違いますね。
こちらは、ちょっと可哀そうな気もしますが、生前の子豚さんの写真です。